日本語学校

日本語学校で強い組織を作っていく5つのポイント

まず初めに、2024年4月から施行された新しい制度により、日本語教育機関の認定審査は以前より厳しくなっています。

文部科学省の認定結果を見ると、認定率は決して高くなく、教育体制や運営面が以前より厳しく見られていることが分かります。以下は、令和7年度第2回認定結果(令和8年4月30日認定)です。

出典:文部科学省「認定日本語教育機関の認定結果」を基に作成

制度ができた背景としては、日本語学校の数が増える一方で、教育内容や教員の質、運営体制にかなりばらつきがあったことがあります。正直に言うと、運営面に課題のある学校も少なくありませんでした。

現在の認定審査では、教員体制や教育の質、組織運営まで以前より細かく確認されるようになっています。

ただ、実際に学校を運営していく中で大切なのは、書類上だけ整えることではなく、「現場として強い組織」を作れるかどうかだと思っています。

今回は、私自身の実体験をもとに、強い組織を作るうえで大切だと感じたことを書きます。

成功したことだけではなく、「あの時こうしておけば良かった」という失敗談も含めてお伝えします。

これから日本語学校設立を考えている方、教職員の増員を検討している方、現在の運営に課題を感じている方の参考になれば幸いです。

1.人が辞めない組織を作る

日本語学校は、学生募集・授業・生活指導・進路指導・入管対応など、想像以上に現場負担が大きい業界です。だからこそ、まず重要なのは「人が辞めない組織」を作ることだと思っています。

そのためには、定期的なミーティングを通して現場の声を拾うこと、意見を交換することが大切です。私自身、現場とのコミュニケーション不足から、急な退職や不満につながってしまった経験もありました。

ただし、形だけの言いづらい雰囲気の定例会になってしまうと時間の無駄です。普段からコミュニケーションを取りながら、言いたいことが言える関係作りを目指す必要があります。

実際に現場からは、

  • 設備を改善してほしい
  • 教務をもっとサポートしてほしい
  • 事務との連携を改善したい

など様々な声が出てきます。

休憩スペースの改善や設備投資など、働く環境への投資も定着率向上には重要です。設備によっては減価償却で処理できるため、単純に「全部が重いコスト」というわけでもありません。

さらに、組織が大きくなるほど、中間管理職の育成も重要になります。

評価・指導・フォローを適切に行い、一人の感情だけで評価が決まらない組織を作ることが、長期的な定着につながると思っています。

2.教師と事務職員の役割を明確にする

日本語学校では、教師が生活指導を兼務していたり、事務職員が進路指導まで行っていたりするケースも少なくありません。

もちろん助け合いは大切です。

ただ、役割分担が曖昧すぎると、

  • 生産性低下
  • 責任所在の不明確化
  • 業務の属人化

につながります。

だからこそ、職務分掌を明確にし、「誰が最終責任を持つのか」を整理することが重要です。実際に、「誰が対応するのか」が曖昧になり、学生対応や引継ぎで混乱したこともありました。

3.言語対応者の配置

入学直後の学生は、日本語がほとんどできないケースもあります。

日本のルールや学校生活について説明する際、日本語だけでは限界があります。

英語で対応することもありますが、学生によって英語力には差があります。

フィリピンやヨーロッパ圏、アフリカ圏の学生は比較的英語対応がしやすい一方、それ以外の地域では個人差が大きい印象があります。

私自身、英語で一生懸命説明しても、全然伝わらなかった経験は何度もあります。

通訳アプリも便利ですが、

  • 引継ぎが難しい
  • 対応者ごとに説明が変わる
  • 継続指導しづらい

などの課題もあります。

理想を言えば、一定数以上の学生がいる国籍については、母語対応できるスタッフを置くのが望ましいと思っています。

ただ、全言語対応は現実的ではないため、

  • 入学時の英語力確認
  • アルバイト活用
  • アプリ併用

など、学校規模に応じて柔軟に対応するのが現実的です。

4.教職員の負担を減らす

日本語学校は、とにかく細かい業務が多いです。

学生トラブル、引継ぎ、学生対応、生活指導、入管報告、社内メール報告…。

そのため、「いかに業務を簡略化するか」がとても重要になります。

また、トラブル内容をデータ化・蓄積していくことで、

  • 仲介業者選定
  • 国籍別対応
  • リスク分析

にも活かすことができます。

規模が大きくなるとExcelやスプレッドシートだけでは限界が来ます。私も、学生数が増えた際に、情報共有や管理が煩雑になり、現場負担が一気に増えた経験もありました。

300名以上の規模になれば、システム導入も検討したほうが良いと思います。

5.学校経営は全員で取り組む

ここまで書いた内容を実行するには、当然ながら原資が必要です。

設備投資、人件費、システム導入、教育体制強化。

すべては安定した売上があってこそ実現できます。

だからこそ、

  • 営業
  • 教師
  • 事務職員

この3つのチームが、「学校経営は全員で取り組む」という意識を持つことが大切だと思っています。

教師は経営に直接関わらない、という考え方ではなく、

  • 進路実績
  • 継続率の向上
  • 学生満足度の向上
  • 日々の継続指導

こうした教育や指導成果そのものが、学校の信頼や経営を支える重要な価値になります。

もちろん、それぞれ役割は違います。

だからこそ、お互いの大変さを理解しつつ、責任所在は明確にする。

そのうえで支え合える組織は強いです。

私自身、マネジメントがうまくできず失敗したことも何度もあります。ただ、その失敗を改善していく中で、組織を大きくできた経験もありました。

これから学校運営をされる方の参考に少しでもなれば幸いです。

KAKKIの支援

KAKKIでは、

  • 教務体制・組織運営の整理
  • 認定日本語教育機関に向けた体制構築支援
  • 教職員の定着・教育品質向上の仕組みづくり

まで、実務に即した形でサポートしています。

  • 「組織づくりに悩んでいる」
  • 「教職員の定着率を改善したい」
  • 「認定制度に対応できる学校運営を整えたい」

このようなお悩みをお持ちの学校関係者の方は、ぜひ一度ご相談ください。