日本語学校

留学生を新卒採用する際の3つのチェックポイント。元日本語学校職員が解説

日本国内の大学や専門学校、日本語学校などに在籍する留学生を、新卒として採用する企業が増えています。

一方で、留学生の採用を検討する企業からは、

  • 「日本語能力試験の結果以外に、何を確認すればよいか分からない」
  • 「面接ではしっかり受け答えができていたが、入社後にうまくいかなかった」

「日本人の新卒採用と同じように選考してよいのだろうか」

といった声も聞かれます。

留学生を採用する際、日本語力や学歴はもちろん重要です。

しかし、日本語能力試験の結果や、面接のために準備された志望動機だけでは、その学生が普段どのように行動しているのかまでは分かりません。

私は以前、日本語学校で留学生の指導や進路支援に携わっていました。

その経験から感じるのは、留学生の人柄や仕事への向き合い方を知るためには、普段の学校生活やアルバイトについて具体的に確認する方が効果的だということです。

本記事では、元日本語学校職員の視点から、留学生を新卒採用する際に確認したい3つのポイントをご紹介します。

1.学校の出席状況

留学生を新卒採用する際、最初に確認しておきたいのが学校の出席率です。

出席率は95%以上を一つの目安とし、最低でも90%以上は欲しいと考えています。

もちろん、出席率が高いからといって、必ず採用して間違いのない学生というわけではありません。出席率だけで、本人の能力や人柄、仕事への適性をすべて判断することはできないからです。

ただし、留学生の出席率が90%ぎりぎり、90%を下回っている場合は、その理由を必ず確認した方がよいでしょう。

留学生は、学校へ入学した直後から、出席率の重要性について繰り返し指導を受けています。日本で生活し、進学や就職を目指すうえで、学校へきちんと通うことが重要であると理解している学生がほとんどです。

そのような環境の中で出席率が90%を下回っているのであれば、何らかの理由で欠席や遅刻が続いていたと考えられます。

通常どおり毎日学校へ通っていれば、多少の体調不良や遅刻、欠席があったとしても、出席率が90%を大きく下回ることはあまりありません。

留学生の出席率が低くなる理由として、よく見られるのは次のようなものです。

  • 体調不良による欠席が多い
  • けがや入院により、一定期間通学できなかった
  • アルバイトを優先し、授業を休んでいた
  • 夜遅くまで働き、寝坊や遅刻が増えていた
  • 母国の家族に関する事情で、急きょ帰国していた

この中には、本人の生活管理に課題があるケースもあれば、入院やけが、家族の事情など、本人だけでは避けられなかったケースもあります。

そのため、「出席率が90%を下回っているから不採用」と数字だけで判断するのではなく、欠席した理由をしっかり確認する必要があります。

アルバイトのしすぎや寝坊など、本人の生活管理が原因で出席率が低くなった場合、必ずしも正直に説明してくれるとは限りません。説明が曖昧であったり、質問するたびに理由が変わったりする場合は、もう少し詳しく確認した方がよいでしょう。

一方、けがや入院、家族の事情による帰国など、やむを得ない理由がある場合は、欠席した時期や期間、当時の状況を比較的具体的に説明できることが多いです。

出席率は、採用を決める絶対的な基準ではありません。しかし、日頃の生活管理や時間を守る意識を確認するうえで、留学生の新卒採用では特に重要な判断材料になります。

2.学生時代の活動と学習への取り組み

次に確認したいのが、学生時代にどのような活動へ参加し、その中でどのように行動していたかです。

学校生活では、授業だけでなく、課外活動、スピーチ大会、スポーツ大会、委員会活動、ボランティア、文化交流、クラブ活動など、さまざまな活動があります。

確認したいのは、単に「参加したことがあるか」ではありません。

その活動の中で、本人がどのような役割を担い、周囲にどのように働きかけていたかを見ることが大切です。

先生や友人から誘われて参加しただけなのか、自分から手を挙げて参加したのか。決められたことだけを行っていたのか、それとも周囲へ声をかけながら主体的に動いていたのかによって、同じ活動に参加していても評価は変わります。

主体的に活動していた学生であれば、活動の目的、自分が担当したこと、周囲と協力した場面、苦労したことなどについて、具体的に語れることが多いです。

反対に、活動名は答えられても、自分が何をしたのかを具体的に説明できない場合は、実際には受け身で参加していただけという可能性もあります。

留学生の学校生活には、日本、中国、ベトナム、ネパール、ミャンマー、スリランカなど、さまざまな国や地域の学生が集まっています。

そのような環境の中で、自ら先頭に立って周囲へ声をかけたり、国籍の異なる学生をまとめたりした経験は、入社後にも生かせる可能性があります。

学生時代から多国籍な環境で主体的に行動してきた人は、入社後も周囲との違いを受け入れながら、自分の得意なことや強みを発揮しやすいと考えられます。

学生時代の活動について確認する際は、「何に参加したか」だけで終わらせず、本人が何を考え、どのように活動を進めたのかまでしっかり確認することが大切です。

3.アルバイト歴

留学生を新卒採用する際は、アルバイト歴も確認しておきたいポイントです。

留学生の多くは、日本で学校へ通いながら、飲食店、コンビニ、ホテル、工場など、さまざまな職場でアルバイトを経験しています。

新卒採用では正社員としての職歴がないため、アルバイトはその学生が日本の職場でどのように働いてきたかを知るための重要な材料になります。

ただし、「コンビニで働いていた」「飲食店で働いていた」といった勤務先の業種だけを確認するのではなく、確認したいのは、どのような環境で、どのような仕事を、どのくらいの期間担当していたかです。

例えば、飲食店でも、洗い場や簡単な調理補助が中心だった人と、注文対応、予約管理、後輩への指導まで経験していた人では、身につけている力が異なります。

ホテルであれば、客室清掃が中心だったのか、フロントで日本人のお客様への対応をしていたのかによっても、経験の内容は変わります。

同じ業種、同じ勤務期間であっても、任されていた仕事や職場での立場は一人ひとり違います。

日本人の店長や社員が多い職場で働いていたのか、外国人スタッフが中心の職場だったのかによっても、日本語を使う機会や職場での経験は異なります。

日本人のお客様への接客、電話対応、後輩への指導などを経験している学生であれば、日本語能力試験の結果だけでは分からない、実際のコミュニケーション力を確認できることがあります。

また、アルバイト先を何度か変えている学生については、勤務期間と転職理由を確認しましょう。

留学生の中には、数か月単位でアルバイト先を変えている人もいます。短期間で何度も勤務先を変えている場合は、仕事内容や人間関係に少し不満があるだけで辞めていないか、仕事を覚える前に退職していないかなどを確認した方がよいでしょう。

一方で、一つの職場で1年以上働いたうえで、別のアルバイトへ移っている場合は、転職回数を過度に気にする必要はありません。

留学生は、原則週28時間以内という限られた時間の中で働きながら、毎日学校へ通う必要があります。(学校の長期休業期間中は、原則として1日8時間以内まで働くことが認められています。)

限られた時間で学費や生活費を確保するためには、時給、勤務時間、通勤距離、シフトの組みやすさ、職場の人間関係などを考えながら、より働きやすい環境を選ぶことも大切です。学校の時間割が変わることもよくあり、その影響で希望する時間にシフトへ入れなくなったなど、学生生活との両立を考えて勤務先を変えるケースもあります。

そのため、アルバイト先を変えたという事実だけで、仕事が長続きしない学生だと判断するのは適切ではありません。

アルバイト歴を見る際は、勤務先の数だけで良し悪しを決めるのではなく、どのような職場環境で、どのような仕事を経験し、どのくらい継続してきたかを総合的に判断しましょう。

まとめ

留学生を新卒採用する際は、日本語能力試験の結果や面接時の印象だけでなく、日本でどのような学生生活を送ってきたかを見ることが大切です。

特に確認しておきたいのは、学校の出席状況、学生時代の活動と学習への取り組み、アルバイト歴の3つです。

  • 出席状況からは、生活管理や時間管理、学校への連絡、注意を受けた後の改善などを見ることができます。
  • 学生時代の活動や学習への取り組みからは、主体性、継続力、周囲との協力、学ぶ姿勢などが見えてきます。
  • アルバイト歴では、勤務先や期間だけでなく、実際に任されていた仕事、注意や失敗への対応、退職した理由まで確認することが重要です。

短時間の面接だけで、留学生の人柄や働き方をすべて見極めることは簡単ではありません。

判断に迷う場合は、本人の同意を得たうえで学校へ直接連絡し、普段の様子を確認する方法もあります。

KAKKIでは、元日本語学校職員としての経験を生かし、学校生活や日本語力、人物面を確認したうえで、企業様に合った留学生をご紹介しています。

候補者の選定から面接、採用後の定着まで一貫してサポートしていますので、留学生の新卒採用をご検討の企業様は、ぜひKAKKIへご相談ください。