受入れ・定着支援

【2026年最新】特定技能「介護」は日本語力が重要。現場の課題と外国人材を定着させるポイント

「介護職員を募集しても応募が集まらない。」

採用できたとしても、長く続かず、再び募集を出すことになる。

こうした状況が続くなか、外国人介護人材の受入れを検討する介護事業者が増えています。

特に増えているのが、在留資格「特定技能」による採用です。一定の介護技能と日本語能力を持つ人材を直接雇用できるため、介護業界の人手不足を支える制度として広がっています。

ただし、外国人を採用すれば、すぐに人手不足が解消するわけではありません。

実際の介護現場では、日本語力、利用者とのコミュニケーション、介護記録、夜勤への移行、介護福祉士国家試験への対応など、受入れ後に課題が出てくることもあります。

これからの外国人介護人材の採用では、単に人数を確保するのではなく、介護現場で働ける人材をどのように採用し、育成し、定着させるかまで考える必要があります。

介護職員は2026年度に約240万人必要になる

厚生労働省によると、介護職員は2026年度に約240万人、2040年度には約272万人が必要になると推計されています。

2022年度の約215万人と比較すると、2026年度までに約25万人、2040年度までに約57万人を新たに確保しなければなりません。

処遇改善、ICTの導入、業務効率化、日本人職員の定着なども必要ですが、それだけで必要な人数を確保することが難しい施設も少なくありません。

そのため、外国人介護人材は一時的な欠員補充ではなく、今後の人員計画を考えるうえで重要な選択肢の一つになりつつあります。

特定技能「介護」の在留者数は7万人を超えている

2026年3月末時点で、特定技能「介護」の在留者数は7万4,745人です。

項目数値
受入れ見込数126,900人
現在の在留者数74,745人
受入れ見込数との差52,155人
直近1年間の増加数26,332人
達までの期間約1.98年
到達予想時期2028年春ごろ
特定技能「介護」の受入れ状況(2026年3月末時点)

現行の受入れ見込数は12万6,900人で、すでに58.9%まで達しています。前年からの1年間では2万6,332人増加しました。

受入れ見込数との差は、5万2,155人です。
直近1年間と同じ増加数が続くと仮定した単純計算では、2028年春ごろに受入れ見込数へ達する計算になります。

なお、12万6,900人は2029年3月までの5年間の受入れ見込数です。介護分野の新規受入れが2028年に停止すると決まったわけではなく、今後の増加ペースや政府による見直しによって状況は変わります。

一方で、「人が必要になってから探せばよい」と考えていると、候補者の確保が難しくなる可能性があります。

海外から人材を採用する場合は、募集、面接、日本語教育、在留資格の申請、入国準備、住居の確保などにも時間がかかります。

ただし、受入れ枠が減っているからといって、採用を急ぎすぎるのも危険です。

介護では、制度上の条件を満たしているかだけでなく、実際に利用者や職員とコミュニケーションが取れるかどうかが、その後の定着を大きく左右します。

特定技能「介護」の制度上のポイント

特定技能「介護」の基本的な条件は、次のとおりです。

  • 受入れ企業との直接雇用が必要
  • 原則としてフルタイムで雇用
  • 日本人職員と同等以上の報酬が必要
  • 事業所ごとに受入れ人数の上限がある
  • 身体介護や関連する支援業務に従事できる
  • 本人の能力や教育状況に応じて夜勤も可能
  • 一定の研修や実務経験などの条件を満たせば訪問介護にも従事できる

介護分野では、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員数を超えて特定技能外国人を受け入れることはできません。また、訪問系サービスについては、初任者研修の修了や原則1年以上の実務経験などが必要です。

制度上の要点は整理できますが、実務上の難しさは、採用後の育成や定着にあります。

外国人介護人材の受入れで見えてきた現場の課題

公益社団法人全国老人福祉施設協議会が、会員7,636施設を対象に実施した調査では、回答した1,476施設のうち51.4%が外国人介護人材を受け入れていました。

外国人介護人材を受け入れている758施設のうち、70.1%が特定技能を利用しており、調査対象となった制度の中で最も高い利用率となっています。

一方、外国人介護人材に関する悩みとして最も多かったのは「日本語の習熟度が低い」の51.5%でした。また、就労開始までに身に付けてほしい能力として、77.7%の施設が「日本語能力N3以上の水準」を挙げています。

N4に合格していても、介護現場で話せるとは限らない

介護分野の特定技能では、原則として日本語能力試験N4以上などの日本語要件を満たす必要があります。

しかし、N4に合格していることと、介護現場で問題なく働けることは同じではありません。

介護の仕事では、利用者への簡単な声かけだけでなく、次のようなコミュニケーションが発生します。

  • 利用者の体調や痛みの場所を確認する
  • 認知症のある利用者の言葉や表情から意図をくみ取る
  • 職員からの申し送りを理解する
  • 看護師や上司へ状態の変化を報告する
  • 介護記録や事故報告を書く
  • 緊急時に必要な情報を正確に伝える

単語や文法を知っているだけでは対応できません。

聞き取れなかったときに確認できること、自分の判断だけで進めず周囲に相談できること、利用者に合わせて言葉を選べることも重要です。

こうした調査結果からも、制度上の基準であるN4にとどまらず、N3相当の日本語力や、利用者・職員とやり取りできるコミュニケーション能力を重視する施設が多いことが分かります。

介護記録と申し送りが大きな壁になる

日常会話はできても、介護記録や申し送りになると難しくなる外国人職員もいます。

例えば、「利用者が痛いと言っていた」という報告だけでは、介護記録として十分ではありません。

いつ、どこに、どの程度の痛みがあったのか。食事量、表情、歩行、排せつなどに変化がなかったか。職員がどのように対応したのか。

ほかの職員が読んでも状況を理解できるように、順序立てて書く必要があります。

タブレットやパソコンで記録を入力する施設では、文章を組み立てる力に加え、日本語入力の操作にも慣れる必要があります。

介護の日本語では、一般的な日本語学習とは別に、記録、報告、連絡、相談を練習する必要があります。

方言や高齢者特有の言い回しが理解しにくい

高齢の利用者は、教科書に出てくるような標準語だけを話すわけではありません。

地域の方言、昔の言葉、遠回しな表現なども多く使われます。

例えば、大阪だと、「もう、かまへん」「しんどい」「えらい」「具合悪いんとちゃう」といった表現は、辞書どおりに訳すだけでは意味をつかめないことがあります。

また、利用者が遠慮して本当の希望を言わない場合もあります。

言葉だけでなく、表情、声の調子、普段との違いまで見ながら判断する力が求められます。

日本人職員の教育負担が大きくなる

外国人職員を採用したものの、教育を担当する日本人職員の負担が増えてしまうケースもあります。

介護技術、施設内のルール、介護記録、日本語、生活習慣などを、現場の職員がすべて教えようとすると、本来の業務に支障が出ます。

介護技術については施設内で指導できても、日本語を体系的に教えられる職員がいる施設は多くありません。

大阪府の調査でも、施設側から「日本語能力やコミュニケーション能力を向上させる方法を知りたい」「施設職員による指導には限界があり、教育部分を外部に頼りたい」という声が出ています。

外国人本人に努力を求めるだけでなく、介護技術は施設内で指導し、日本語教育は外部の専門機関と分担することも一つの方法です。

夜勤では、緊急時の日本語力が求められる

特定技能外国人が夜勤を行うことは可能です。

ただし、夜勤では職員数が少なくなり、利用者の転倒、体調不良、急変などに対応しなければなりません。

緊急時には、利用者の状態を確認し、看護師や責任者へ連絡し、指示を正確に理解する必要があります。

日本語力や判断力が十分でない状態で、入社直後から一人で夜勤を任せるのは危険です。

まずは日勤で利用者の状態や施設の業務を覚え、早番・遅番、複数人での夜勤などを経ながら、段階的に担当させる方が安全です。

採用時に「夜勤に入れるか」だけを見るのではなく、夜勤を安全に任せられる状態まで、どのように育成するかを決めておくことが重要です。

利用者との相性や国籍の考え方に正解はない

介護施設では、外国人職員本人と施設の相性だけでなく、利用者との相性も考えなければなりません。

高齢の利用者の中には、戦争体験や過去の記憶などから、特定の国や地域に複雑な感情を持っている方もいます。

一方で、実際に外国人職員と接するうちに、利用者が「孫のようでかわいい」と親しみを持つようになった事例も報告されています。

既存の外国人職員と同じ国籍や言語の人材を採用することで、相談しやすい環境ができ、教育をまとめて行いやすくなる場合があります。

一方で、利用者層や既存職員との関係、施設の教育体制などから、異なる国籍の人材を受け入れる方が適している場合もあります。

国籍構成に一つの正解があるわけではありません。国籍だけで本人の能力や性格を判断せず、施設の利用者層、既存職員、支援体制に合わせて柔軟に考えることが重要です。

長く働いてもらうには介護福祉士の取得支援が必要

特定技能1号として働ける期間は、原則として通算5年です。

介護福祉士国家試験に合格し、在留資格「介護」へ変更すれば、在留期間を更新しながら長期的に働くことができます。

しかし、外国人職員にとって介護福祉士国家試験は簡単ではありません。

第38回介護福祉士国家試験では、特定技能1号の受験者1万406人のうち、合格者は3,435人で、合格率は33.0%でした。試験全体の合格率は70.1%です。

介護の知識を理解していても、問題文の長さや独特な言い回しによって、正しい答えを選べないことがあります。

勤務を続けながら、本人だけで国家試験対策を行うのも簡単ではありません。

介護福祉士を目指してもらうのであれば、専門用語、問題文の読み方、過去問題、学習計画まで含めた継続的な支援が必要です。

介護福祉士の取得は、外国人本人のキャリアアップになるだけではありません。

施設にとっても、採用して育成した職員に長く働いてもらえる可能性が高まり、将来のリーダーや外国人職員の教育担当者として活躍してもらうことにつながります。

人材紹介だけでなく、採用後の育成・定着まで

ここまで見てきたように、外国人介護人材の受入れでは、採用時の見極めだけでなく、入社後の日本語教育、生活支援、介護福祉士を見据えたキャリア支援まで考える必要があります。

特に介護は、利用者との会話、職員間の申し送り、介護記録、緊急時の報告など、日本語を使う場面が多い仕事です。

そのため、制度上の日本語要件を満たしているだけでなく、採用後も継続して日本語力を伸ばせる環境を整えることが、現場での活躍や長期的な定着につながります。

KAKKIには、日本語学校の運営や外国人留学生の教育、進路指導、就職支援に長年携わってきたスタッフと、介護日本語を専門に指導する日本語講師が在籍しています。

外国人材の紹介だけでなく、登録支援機関としての生活・就労支援、日本語教育、介護福祉士国家試験に向けた学習支援まで、一つの流れで対応できることが強みです。

介護現場で使える日本語を学ぶ

一般的な日本語能力試験の対策だけでは、介護現場で必要となる日本語を十分に身に付けられない場合があります。

介護の仕事では、利用者への声かけだけでなく、体調の変化を聞き取る、申し送りを理解する、介護記録を書く、事故や異変を正確に報告するといった力が必要です。

KAKKIでは、外国人職員が実際に働く介護現場を想定し、次のような日本語の学習を支援します。

  • 利用者への声かけや敬語
  • 身体介護で使用する専門用語
  • 申し送りの聞き取りと報告
  • 介護記録の読み書き
  • 事故や体調変化の報告
  • 緊急時の連絡
  • 高齢者特有の表現や地域の方言

日本語能力試験に合格することだけを目的とするのではなく、外国人職員が現場で困っている場面や、施設側が課題に感じている内容を確認しながら、実務に必要な日本語力の向上を目指します。

介護技術は施設内で指導し、日本語教育は専門の講師が担当するなど、役割を分けることで、現場職員の教育負担を軽減することにもつながります。

介護福祉士国家試験に向けた学習支援

特定技能1号の在留期間は、原則として通算5年です。

介護福祉士国家試験に合格し、在留資格「介護」へ変更すれば、在留期間を更新しながら長期的に働くことができます。

そのため、外国人職員に長く活躍してもらうには、採用した時点から介護福祉士の取得を見据えた支援を行うことが重要です。

介護福祉士国家試験では、介護に関する知識だけでなく、問題文を正確に読み取り、状況を整理する日本語力も求められます。

KAKKIでは、外国人職員の日本語レベルや介護経験を確認したうえで、専門用語、問題文の読み方、過去問題演習などを組み合わせた学習計画を作成します。

試験直前だけの対策ではなく、日々の介護日本語の学習から国家試験まで継続して支援することで、介護福祉士の合格と、その後の長期的な就労をサポートします。

国内外から施設に合った人材を紹介

  • 「できればN3以上の人材を採用したい」
  • 「入社時点から、ある程度利用者と会話ができる人がよい」
  • 「日本での生活に慣れている人を採用したい」

このような施設には、海外からの採用だけでなく、日本国内で就職を希望する外国人留学生も選択肢になります。

日本語学校等に在籍する留学生は、すでに日本で生活し、学校生活やアルバイトを経験しています。対面で面接を行いやすく、実際の会話力、人柄、介護への志望度を確認しやすい点もメリットです。

KAKKIでは、海外在住の特定技能人材に加え、卒業後に特定技能「介護」での就職を希望する国内留学生にも対応しています。

求める日本語力、入社時期、介護経験、採用人数、既存の外国人職員や利用者の状況などを確認し、施設に合った候補者をご提案します。

既存職員と同じ国籍の人材を採用したい場合や、利用者層に合わせて異なる国籍を検討したい場合など、施設の希望に応じて柔軟に対応します。

まとめ

特定技能「介護」の在留者数は7万人を超え、外国人介護人材は介護現場を支える重要な存在になっています。

一方で、受入れが増えるにつれて、日本語力、介護記録、申し送り、夜勤、職員の教育負担、生活支援、職場への定着といった課題も明確になってきました。

特に介護は、人とのコミュニケーションが多い仕事です。

制度上の日本語要件を満たしているだけでなく、利用者の気持ちをくみ取り、職員へ正確に報告し、安全に介護を行うための日本語力が求められます。

介護施設に合う人材を採用し、現場で必要な日本語力を身に付けてもらい、介護福祉士を目指しながら長く働いてもらうことが重要です。

KAKKIでは、海外からの特定技能人材だけでなく、日本国内で就職を希望する外国人留学生のご紹介にも対応しています。

人材を紹介して終わるのではなく、採用した外国人職員が介護現場で成長し、長く活躍できる環境づくりを、施設と一緒に進めていきたいと思っております。