2026年8月5日、外国人技能実習機構は「育成就労制度運用要領」の一部改正を公表しました。
2027年4月1日から始まる育成就労制度は、これまでの技能実習制度に代わり、外国人材の育成と人材確保を目的とした新しい制度です。
今回の改正では、外国人材が従事できる業務の範囲や、入国時の必要書類、転籍に関する手続などがより具体的に示されています。
「技能実習制度とは何が違うのか」
「外国人材にはどのような仕事を任せられるのか」
「受入れ企業は何を準備すればよいのか」
こうした疑問を持つ企業も多いのではないでしょうか。
今回は、2026年8月5日の主な改正内容と、2027年の制度開始に向けて企業が確認しておきたいポイントについて解説します。
この記事のポイント: 2027年4月から始まる育成就労制度では、外国人材を原則3年間で特定技能1号の水準まで育成することを目指します。今回の運用要領改正では、従事できる業務の範囲や申請書類、転籍の手続などが明確になりました。企業は採用だけでなく、技能・日本語教育や受入れ体制の準備が必要です。
1.育成就労制度と技能実習制度の違い
育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて、外国人材が特定技能1号の水準に必要な技能や日本語能力を身につけることを目指す制度です。
従来の技能実習制度との主な違いは次のとおりです。
| 比較項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 技能移転による国際貢献 | 人材育成と人材確保 |
| 育成期間 | 最長5年間 | 原則3年間 |
| 転籍 | 原則制限あり | 一定の条件で本人希望による転籍が可能 |
| 日本語能力 | 職種等により要件が異なる | 段階的な到達目標を設定 |
| 将来の進路 | 帰国または特定技能への移行など | 特定技能1号への移行を想定 |
特に大きな違いは、外国人材を育成し、将来的に特定技能1号として働いてもらうことが制度の目的に含まれているという点です。
また、新制度では一定の条件を満たした場合、外国人材本人の希望による転籍も認められます。
そのため、企業には仕事を教えるだけでなく、外国人材が安心して働き続けられる職場環境づくりも求められます。
関連記事:特定技能と育成就労の違いを比較 企業はどちらを選ぶべき?
2.2026年8月5日の主な改正ポイント
今回の運用要領改正では、申請書類や業務内容、転籍に関する手続など、複数の項目が見直されました。
受入れ企業に関係する主な内容を紹介します。
① 外国人材が従事できる業務の範囲を明確化
技能実習制度では、「必須業務」「関連業務」「周辺業務」などが区分され、それぞれに業務時間の基準が設けられていました。
一方、育成就労制度では、関連業務や周辺業務という従来の区分を使用しません。
今回の改正では、次の取扱いがより明確になりました。
- 必須業務: 業務時間全体の3分の1以上
- 安全衛生業務: 業務時間全体の10分の1以上
- その他の業務: 対象となる業務区分内の仕事や、関連する仕事に付随的に従事することが可能
例えば、製造業であれば、育成対象となる製造作業に加え、関連する部品の運搬や整理などを行うことも考えられます。
ただし、どのような仕事でも自由に任せられるわけではありません。
育成就労計画で定めた技能を習得できるよう、業務内容や時間配分を考える必要があります。
② 入国前の健康確認に関する取扱いを追加
今回の改正では、入国前結核スクリーニングに関する取扱いも明記されました。
対象国から外国人材を受け入れる場合、在留資格認定証明書(COE)の交付申請時に「結核非発病証明書」の提出が必要になります。
一方、育成就労計画の認定申請時には、この証明書を提出する必要はありません。
つまり、育成就労計画の認定申請と、COE交付申請では必要書類が異なるため、注意が必要です。
③ 本人希望による転籍手続を明確化
育成就労制度では、一定の要件を満たした場合、外国人材本人の希望による転籍が認められます。
今回の改正では、転籍希望の申出を受けた際の通知手続についても、取扱いがより具体的になりました。
原則として、関係する監理支援機関や受入れ企業に通知されますが、本人が速やかな通知に同意しない場合の取扱いも明記されています。
また、本人希望による転籍先となる企業には、優良な育成就労実施者であることなどの条件があります。
「外国人材が希望すれば、いつでも自由に転職できる」という制度ではないため、企業も転籍の条件を正しく理解しておく必要があります。
3.受入れ企業に求められる体制とは?
育成就労制度では、企業が外国人材を採用するだけでなく、計画的に育成できる体制を整える必要があります。
特に重要なのは、次の3つです。
① 育成就労計画の作成
外国人材を受け入れる際には、原則3年間の育成就労計画を作成し、事前に認定を受ける必要があります。
計画では、従事する業務や技能の習得目標、指導体制などを定めます。
また、監理型育成就労の場合は、許可を受けた監理支援機関の指導のもとで計画を作成します。
② 日本語教育の実施
育成就労制度では、技能だけでなく日本語能力の向上も重視されています。
原則として、就労開始前にはA1相当の日本語試験への合格または所定の講習受講、育成終了時にはA2.2相当以上の日本語能力が求められます。
そのため、企業は必要な日本語講習を受けられる環境を整える必要があります。
株式会社活喜(KAKKI)には、豊富な日本語教育経験を持つ国家資格「登録日本語教員」が在籍しており、外国人材向けの日本語教育を提供することが可能です。
日本語教育では、試験への合格だけでなく、職場での指示の理解や報告・相談など、実際の仕事や日常生活で使える日本語を身につけることも重要です。
外国人材の日本語教育や、育成就労制度に向けた日本語講習をご検討の企業様は、ぜひKAKKIにご相談ください。
③ 労働条件や生活環境の整備
外国人材も日本人と同様に、労働基準法などの労働関係法令の対象となります。
給与や労働時間、社会保険の加入などを適切に管理するとともに、生活上の相談ができる環境を整えておくことも重要です。
また、業務内容によっては安全衛生教育も欠かせません。
採用後の育成や生活面のサポートまで考えることが、安定した受入れにつながります。
4.制度開始に向けて企業が準備すべきこと
2027年4月の制度開始に向けて、外国人材の受入れを検討する企業は、早めに準備を進めておきたいところです。
まず、自社の事業が育成就労制度の対象分野に該当するか確認する必要があります。
対象分野であっても、業務内容や受入れ体制によって条件が異なるため、分野別の運用要領も確認しましょう。
次に、外国人材を指導する担当者や、日本語教育の実施方法を検討することが重要です。
例えば、製造業や物流業では、安全確認や作業手順など、現場で使う日本語を理解してもらう必要があります。
さらに、新制度では本人希望による転籍も認められることから、外国人材が長く働きたいと思える環境づくりも重要になります。
採用時の条件だけでなく、3年間でどのような技能や日本語能力を身につけてもらうかを考えることが、これからの外国人材採用では大切になるでしょう。
まとめ
2026年8月5日、外国人技能実習機構は育成就労制度運用要領の一部改正を公表しました。
今回の改正では、外国人材が従事できる業務の範囲や必要書類、転籍に関する手続などがより具体的に示されています。
2027年4月から始まる育成就労制度では、外国人材を採用するだけでなく、技能や日本語能力を計画的に育成することが重要になります。
KAKKIでは、外国人材の採用は、人材を確保することがゴールではなく、採用後に成長し、長く活躍してもらうことが大切だと考えています。
外国人材の採用や日本語教育、受入れ体制の整備をご検討の企業様は、お気軽にご相談ください。
参考資料
※本記事は2026年8月5日の改正内容を中心に解説しています。制度開始後の具体的な取扱いについては、最新の公式資料をご確認ください。