制度・在留資格

特定技能と育成就労の違いを比較 企業はどちらを選ぶべき?

外国人材の受け入れを検討している企業にとって、「特定技能」と「育成就労」は重要な制度です。

特定技能は、一定の技能や日本語能力を持つ外国人材を受け入れる制度です。一方、育成就労は、技能実習制度に代わる新制度として、外国人材を育成しながら将来的に特定技能1号へつなげることを目的としています。

企業からは、

  • 特定技能と育成就労は何が違う?
  • どちらを選ぶべき?
  • 費用や定着率はどう違う?
  • すぐ戦力になるのはどちら?

といった質問をよくいただきます。

この記事では、両制度の違いを早見表で整理したうえで、

  • 費用
  • 戦力
  • 定着率
  • 採用ハードル
  • 業務範囲

の5つを企業目線で比較します。

結論を先に言いますと、初めて外国人材を受け入れる企業や、即戦力を求める企業には特定技能がおすすめです。

一方、若い人材を採用して育成したい企業や、社内で教育体制を整えながら人材を育てたい企業には、育成就労という選択肢もあります。

なお、長期的な人材確保という観点では、特定技能も特定技能2号への移行によって長く働いてもらえる可能性があります。

そのため、「長期雇用=育成就労」と単純に考えるのではなく、自社の採用方針や教育体制に合わせて制度を選ぶことが重要です。

特定技能と育成就労の違い 制度比較の早見表

まずは、特定技能と育成就労の違いを一覧で確認しましょう。

比較項目特定技能育成就労
目的即戦力として就労人材育成 → 特定技能1号へ
開始時期2019年2027年4月予定
在留期間1号:通算5年
2号:更新制限なし
原則3年
日本語要件A2相当(日常会話や仕事の基本的なやり取りができる)A1相当(自己紹介や簡単な会話、指示が理解できる)
技能要件技能試験あり評価試験(初級)あり
転職・転籍同分野内で転職可能一定条件下で転籍可能
企業向き即戦力が欲しい若手を育成したい

この表を見ると、特定技能は「即戦力」、育成就労は「育成」という違いがわかります。

では、企業が気になる5つのポイントを見ていきましょう。

1.費用面の比較

結論:総コストは大きく変わらない。

初期費用の目安として、特定技能は1人あたり50〜100万円程度、育成就労は1人あたり70〜150万円程度になるケースがあります。

ただし、採用ルート、受け入れ分野、採用国、利用する支援機関・送り出し機関によって大きく変動するため、あくまで目安として考えてください。

特定技能では、紹介手数料や登録支援機関への委託費が発生するケースがあります。一方、育成就労では、監理支援機関への費用に加え、日本語学習支援や技能教育、現場での指導体制の整備など、人材育成に関する継続的なコストを見込んでおく必要があります。

また、どちらの制度でも、日本人と同等以上の報酬を支払う必要があります。

費用面で重要なのは、初期費用だけではなく、受け入れ後にどれだけ教育・支援・定着にコストをかける必要があるかという点です。

特定技能は、採用時点で一定の技能や日本語能力を持つ人材を採用しやすいため、現場教育の負担を比較的抑えやすい傾向があります。一方、育成就労は3年間かけて人材を育成する制度であるため、教育や支援を継続できる体制を整えておくことが重要になります。

2.戦力の比較

結論:即戦力なら特定技能が有利、育成就労は長期育成型。

現場での即戦力という点では、特定技能の方が早く活躍しやすい制度です。

特定技能では、原則として技能試験と日本語試験に合格する必要があります。技能実習2号を良好に修了している場合など、一定の条件を満たせば試験が免除されるケースもありますが、採用時点で一定の技能や日本語能力を持っていることが前提となります。

日本語能力については、JLPT N4またはJFT-Basic A2レベル程度が目安となります。これは、ある程度の日常会話ができ、生活や業務上の基本的なやり取りに対応できるレベルと考えられます。

一方、育成就労は、就労を通じて技能や日本語能力を高めていく制度です。就労開始前にはA1相当以上の日本語能力が必要とされていますが、特定技能ほど高い技能水準や日本語能力を採用時点で求める制度ではありません。

技能面でも、特定技能は採用時点で一定の技能水準が求められるのに対し、育成就労は原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材へ育成することを目的としています。

3.定着率の比較

結論:制度上は特定技能の方が転職しやすい。実際の定着率は企業の受け入れ体制に大きく左右される。

定着率については、制度だけで単純に判断することはできません。

特定技能は、同じ分野内であれば転職が可能です。

そのため、受け入れ後の環境が整っていなければ、他社へ転職される可能性もあります。特に、給与水準、職場の人間関係、仕事内容、相談体制、生活支援などに不満がある場合は、転職を検討されることもあります。

一方、育成就労でも転籍は可能ですが、一定期間の就労や技能・日本語要件など条件があります。

制度上は育成就労の方が人材流動性は低いと考えられますが、それだけで定着率が高いとは言えません。

実際には、

  • 教育担当者がいる
  • 日本語での指示がわかりやすい
  • 生活相談ができる
  • 評価制度が明確
  • キャリアアップを示せる

といった受け入れ体制の方が、定着率に大きく影響します。

4.採用ハードルの比較

結論:特定技能は試験がハードル、育成就労は教育体制の整備が重要

特定技能は、技能試験や日本語試験に合格した人材を採用するため、即戦力を採用しやすい制度です。

また、海外からの採用だけでなく、技能実習を修了した人材や、日本国内に在留している外国人材を採用できるため、採用ルートが比較的豊富という特徴があります。

一方で、

「人物は良いが、試験にまだ合格していない」

という理由ですぐに採用できないケースもあります。

育成就労は、採用時点で高い技能水準を求めないため、採用対象は広がりやすい制度です。

ただし、企業には日本語教育や技能教育を行う体制が求められます。

そのため、特定技能は「一定の技能や日本語能力を持つ人材を採用したい企業」、育成就労は「若い人材を採用し、時間をかけて育成したい企業」に向いている制度といえるでしょう。

5.業務の範囲の比較

結論:特定技能の方が、実務上は幅広い業務を任せやすくなる可能性があります。

育成就労の具体的な業務範囲については、現時点ではまだ詳細が公表されていない部分もあります。

ただし、育成就労の前身となる現行の技能実習と比較すると、特定技能の方が業務の幅は広い傾向があります。

技能実習は、実習計画に基づいて特定の職種・作業を行う制度です。一方、特定技能は人手不足分野で即戦力として働くことを目的としており、主たる業務に加えて関連業務にも従事できます。

そのため、育成就労でも制度運用の詳細が今後整理される予定ですが、採用時点で一定の技能や日本語能力を持つ特定技能の方が、企業としては幅広い業務を任せやすい可能性があります。

もちろん、特定技能であっても対象分野・対象業務の範囲を超えて自由に仕事を任せられるわけではありません。

受け入れ前には、自社の業務内容が制度上の対象に該当するか確認することが重要です。

特定技能と育成就労の比較まとめ

今回の比較をまとめると、次のようになります。

  • 費用:総コストは大きく変わらないケースが多い
  • 戦力:特定技能は即戦力、育成就労は育成型
  • 定着率:制度よりも受け入れ体制が重要
  • 採用ハードル:特定技能は試験というハードルがあり、育成就労は教育体制が必要
  • 業務範囲:特定技能の方が、実務上は幅広い業務を任せやすい可能性がある

また、特定技能には特定技能2号という制度もあり、対象分野では更新回数の制限なく長期的に活躍してもらえる可能性があります。

そのため、「即戦力を採用したいのか」「若い人材を育成しながら採用したいのか」という観点で制度を比較すると、自社に合った選択がしやすくなるでしょう。

KAKKIの見解「外国人材の受け入れはまず特定技能を検討」

KAKKIでは、多くの企業にとって、まずは特定技能を検討することをおすすめしています。

理由は、一定の技能や日本語能力を持つ人材を採用しやすく、現場の負担を抑えながら外国人採用を進めやすいためです。

特に、

  • できるだけ早く人材を確保したい
  • 現場教育の負担を抑えたい
  • 国内在住の外国人材も含めて採用を検討したい
  • 外国人採用の経験を積みたい

という企業には、特定技能が向いているでしょう。

一方で、

  • 若い人材を育てたい
  • 長期的な人材育成を考えている
  • 教育体制を整えられる

という企業にとっては、育成就労も有力な選択肢になります。

外国人採用を成功させるためには、制度を理解することだけでなく、採用後に安心して働ける環境を整えることも重要です。

「自社には特定技能と育成就労のどちらが合っているのか」

そんなお悩みがある企業様は、お気軽にKAKKIへご相談ください。