2026年7月21日、出入国在留管理庁は、育成就労制度の「自動車整備分野」と「木材産業分野」に関する運用要領を公表しました。
2027年4月1日から始まる育成就労制度は、技能実習制度に代わり、外国人材を育成しながら将来的に特定技能1号へつなげることを目的とした新しい制度です。
今回の運用要領では、対象業務や受入れ企業に求められる条件、日本語能力などが具体的に示されています。
「自社の整備工場でも外国人材を受け入れられるのか」
「木材を扱う会社であれば、どこでも対象になるのか」
今回は、こうした疑問を持つ企業に向けて、両分野の受入れ要件と、企業が準備しておきたいポイントを解説します。
この記事のポイント: 自動車整備分野では工場の認証や指導員の資格、木材産業分野では事業所の業種や業務内容が重要です。また、両分野とも日本語教育と計画的な技能育成が求められます。
1.育成就労制度とは?特定技能との違い
育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて、特定技能1号の水準に必要な技能や日本語能力を身につけることを目指す制度です。
特定技能が一定の技能を持つ外国人材の受入れを目的としているのに対し、育成就労は、企業が外国人材を採用し、働きながら育成していく点に特徴があります。
そのため、受入れ企業には単に仕事を与えるだけではなく、計画に沿った技能教育や日本語学習の機会を提供することが求められます。
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2.自動車整備分野の受入れ要件
自動車整備分野では、主に次の2つの業務区分が設けられています。
① 自動車整備
自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備などが対象です。
具体的には、ブレーキやエンジンの点検、車検に関する整備、各装置の修理などが挙げられます。
② 車体整備
車体整備では、板金や塗装、ボデー・フレームの修正などが対象になります。
いずれも育成就労計画に基づき、必要な技能を段階的に身につけることが求められます。
受入れ企業には認証工場などの条件がある
特に注意したいのが、受入れ事業所の条件です。
自動車整備分野では、道路運送車両法に基づく認証を受けた事業所であることが求められています。
自動車整備の業務区分では、二輪車のみを対象とする工場や、認証の業務範囲が限定されている工場などに制限があります。
さらに、育成就労指導員には、原則として次のような資格・経験が必要です。
- 1級または2級自動車整備士
- 3級自動車整備士の資格取得後、3年以上の整備実務経験がある者(自動車整備の業務区分)
- 自動車車体・電子制御装置整備士(車体整備の業務区分)
つまり、自動車整備を行っている企業であっても、すべての事業所がそのまま外国人材を受け入れられるわけではありません。
工場の認証内容と、適切な指導体制を整えられるかを事前に確認することが重要です。
3.木材産業分野の受入れ要件
木材産業分野では、製材や合板、集成材などの製造・加工に関する業務が対象となっています。
主な対象事業所は、次のとおりです。
- 製材業・木製品製造業
- 合板製造業
- 集成材製造業
- 建築用木製組立材料製造業
- 床板製造業
これらの事業所では、木材加工を主たる技能として、機械の点検、木材の切削加工、製品の検査などを計画的に習得させます。
また、機械の安全確認や保護具の着用など、安全衛生に関する教育も必要です。
木材を扱う企業ならどこでも対象になる?
注意したいのは、木材を扱う会社であれば、どこでも受入れができるわけではないという点です。
例えば、家具・装備品製造業など、対象外となる業種もあります。また、木材製品の選別や包装だけを行う事業所も対象にはなりません。
受入れを検討する企業は、実際の事業所の業務内容が対象となる日本標準産業分類に該当するかを確認する必要があります。
4.自動車整備・木材産業の受入れ要件を比較
両分野の主な違いをまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | 自動車整備分野 | 木材産業分野 |
|---|---|---|
| 主な業務 | 点検・整備、板金・塗装など | 製材、合板・集成材の製造など |
| 事業所の条件 | 認証工場などの要件 | 対象となる産業分類への該当 |
| 指導体制 | 整備士資格・経験など | 木材加工の技能を指導できる体制 |
| 日本語能力 | 就労開始前A1相当を基本 | 同左 |
どちらの分野でも、対象業務だけでなく、企業側の受入れ体制まで確認することが重要です。
5.日本語能力はどれくらい必要?
育成就労制度では、技能だけでなく日本語能力の向上も重要な目的の一つです。
両分野とも、就労開始前に原則として次のいずれかを満たす必要があります。
- 日本語能力試験(JLPT)N5以上
- JFT-BasicのA1相当以上
- 認定日本語教育機関等での所定の日本語講習100時間以上の受講
また、育成就労開始後1年経過時までにA1相当以上、育成就労終了時までにA2.2相当以上の日本語能力を身につけることが求められています。終了時の試験については、JLPT N4以上も認められています。
日本語教育は採用後も重要
外国人材を受け入れる企業にとって、試験の合格はもちろん重要です。
しかし、実際の職場では試験の結果だけで日本語力を判断することはできません。
例えば、自動車整備では工具や部品の名称、木材産業では加工寸法や機械の操作手順など、仕事に必要な日本語は少なくありません。
特に安全に関わる指示を正確に理解できるかどうかは重要です。
そのため、採用後も現場で使う日本語を継続して学べる環境を整えておくことが大切です。
6.受入れ企業が準備すべき3つのポイント
今回の運用要領を踏まえ、企業が準備しておきたいのは次の3つです。
① 自社が受入れ対象となるか確認する
自動車整備分野では認証工場の条件、木材産業分野では対象業種の確認が必要です。
両分野とも直接雇用が原則となり、分野別協議会への加入なども求められます。
② 技能を教えられる体制を整える
育成就労は、外国人材を単なる労働力として採用する制度ではありません。
誰が指導するのか、どのような作業を経験させるのか、技能の習得状況をどう確認するのかを考えておく必要があります。
③ 日本語教育と定着支援を考える
外国人材が安心して働くためには、仕事を教える体制に加え、相談できる環境も必要です。
また、育成就労制度では一定の要件を満たした場合、本人の意向による転籍も認められています。
そのため、企業側も外国人材に選ばれ、長く働いてもらえる職場環境づくりを考える必要があります。
7.KAKKIの考え「採用と育成を一緒に考える」
今回の運用要領の公表によって、2027年の制度開始に向けた受入れ条件がより具体的になりました。
一方で、初めて外国人材を採用する企業にとっては、日本語教育や現場での指導体制を整えることが課題になると考えられます。
KAKKIでは、外国人材の採用において、採用時点の日本語能力や技能だけでなく、入社後にどのような成長が期待できるかという視点も重要だと考えています。
外国人材自身が将来の目標を持って働ける環境を整えることが、長期的な定着につながっていくのではないでしょうか。
まとめ
2026年7月21日、自動車整備分野と木材産業分野の育成就労制度運用要領が公表されました。
今回の公表によって、対象業務や受入れ事業所の条件、日本語能力、指導体制などが具体的に示されています。
2027年4月の制度開始を見据え、外国人材の受入れを検討する企業は、早い段階から自社の受入れ要件や教育体制を確認しておくことが重要です。
KAKKIでは、外国人材の採用から日本語教育、受入れ後の定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。
外国人採用をご検討の企業様は、お気軽にご相談ください。
参考資料
※本記事は2026年7月21日の公表を起点とした解説です。運用要領はその後も改正されているため、実際の申請に当たっては最新の公式資料をご確認ください。