ここ数年、日本における外国人材の働き方は大きく変わりました。
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」に加え、「特定技能」の対象分野も拡大し、外国籍の方が働ける職種は以前より大きく広がっています。
特定技能は2019年4月に14分野で始まり、現在は16分野が対象です。さらに、「物流倉庫」「リネンサプライ」「資源循環」の3分野の追加も決定しており、今後は計19分野となる予定です。
「外国籍の方を採用したいけれど、この仕事を任せても大丈夫なのか」
外国人材の採用を検討する企業から、よく聞かれる質問です。
日本で働ける仕事の範囲は、国籍ではなく、原則として本人が持つ在留資格によって決まります。また、正社員やアルバイトといった雇用形態ではなく、実際の業務内容が重要です。
この記事では、外国人採用で多く利用される「技人国」と「特定技能」を中心に、働ける仕事と、採用が難しい代表的な仕事を解説します。
※本記事の「就けない仕事」とは、仕事の価値や専門性を否定するものではなく、技人国や特定技能では原則として主な業務にできない仕事を指します。
なお、技能実習制度や2027年4月から始まる育成就労制度は、対象業務が特定技能と重なる部分も多いため、本記事では「技人国」と「特定技能」を中心に説明します。
身分系の在留資格は日本人と同等に働ける
次のような身分・地位に基づく在留資格を持っている外国籍の方は、日本人と同様に職種や業種に関する就労制限がありません。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
- 特別永住者
もちろん、日本人と同様に、資格や免許が必要な仕事については、その条件を満たす必要があります。
また、公務員については法律上「日本国籍を要件とする職種」が存在します。例えば警察官や自衛官などは原則として日本国籍が必要とされており、外国籍の方は就くことができません。一方で、自治体職員など一部の公務職では国籍要件が緩和されているケースもあります。
技人国で働ける代表的な仕事
「技術・人文知識・国際業務」は、一般的に「技人国」と呼ばれる在留資格です。
大学や専門学校などで学んだ知識、これまでの職歴、外国文化に基づく能力を生かす仕事が主な対象です。
技術分野
- システムエンジニア
- プログラマー
- 機械・電気設計
- 建築設計
- CADオペレーター
- 施工管理
- 生産技術
- 品質管理
人文知識分野
- 法人営業、海外営業
- 経理、財務
- 人事、法務
- 貿易業務
- 商品企画
- 広報
- マーケティング
- 国際業務分野
- 通訳、翻訳
- 語学講師
- デザイナー
- 海外取引業務
- 外国人顧客対応
国際業務分野
- 通訳、翻訳
- 語学講師
- デザイナー
- 海外取引業務
- 外国人顧客対応
技人国は会社の業種ではなく、実際の業務内容で判断されます。単純作業や反復作業のみを主業務とする場合は、原則として対象外となります。
特定技能で働ける分野
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野で外国人材を受け入れるための在留資格です。
現在、以下の分野で受入れが認められています。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 自動車運送業
- 鉄道
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業(2026年4月13日以降、新規の受入れが原則停止)
- 林業
- 木材産業
さらに、政府の方針として以下の分野の追加が決定されています。
- リネンサプライ
- 物流倉庫
- 資源循環
技人国・特定技能では難しい仕事10選
先述のとおり、特定技能の対象分野が拡大したことで、外国籍の方が働ける仕事は大きく増えています。
一方で、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」のどちらにも当てはまりにくい仕事もあります。
ここでは、技人国または特定技能で主な業務として採用することが難しい代表的な仕事を紹介します。
なお、これから紹介する仕事で、実際に外国籍の方が働いているケースもあります。その場合は、主に次のような可能性が考えられます。
- 永住者、定住者、日本人の配偶者等など、就労制限のない身分系の在留資格を持っている
- 特別永住者である
- 留学生や家族滞在の方が、資格外活動許可を取得してアルバイトをしている
- 特定活動など、技人国・特定技能以外の在留資格や制度を利用している
そのため、外国籍の方が実際に働いているからといって、その仕事が技人国や特定技能で認められているとは限りません。
1.警備員・交通誘導員
施設警備、交通誘導、イベント警備などは技人国の対象になりにくく、特定技能にも警備分野はありません。格を持つ方については、警備業法上の要件を確認したうえで採用できます。
2.コンビニ・スーパー・アパレルなどの販売員
コンビニやスーパーで働く外国籍の方を見かけますが、留学生などが資格外活動許可を取得し、アルバイトとして働いているケースが多いです。
レジ、品出し、商品陳列、一般的な接客販売を主な業務とする場合は、原則として技人国の対象になりません。また、小売業は特定技能の対象分野にも含まれていません。
ただし、例えば技人国で採用された人材が、海外対応や企画業務などを主業務としつつ、付随的にレジや品出しを行うケースはあり得ます。
重要なのは「主な業務が何か」です。
3.引越し作業員・配送助手・配達員
特定技能の「自動車運送業」は、トラック、バス、タクシーの運転業務が中心です。運転をしない配送助手、引越し作業、自転車配達、新聞配達などは原則として対象外です。
4.家事代行・個人宅のハウスキーピング
特定技能のビルクリーニングは、建築物内部の清掃を対象としており、個人宅での掃除、洗濯、料理などの家事代行とは区別されています。
そのため、一般的な技人国や特定技能では採用が難しい仕事です。
ただし、国家戦略特区の「家事支援外国人受入事業」や、高度専門職外国人等に雇用される家事使用人については、在留資格「特定活動」で働ける場合がありますが、利用できるケースは限定されています。
5.美容師・理容師・美容サービススタッフ
美容師免許などを取得していても、美容師、理容師、ネイリスト、エステティシャンなどは、原則として技人国や特定技能の対象にはなりません。一部の国家戦略特区では例外的な制度があります。
6.保育士・保育補助・学童スタッフ
保育分野は現時点で特定技能対象外です。資格取得だけでは在留資格が付与されるわけではありません。
なお、インターナショナルスクールなどで語学教育や国際教育を担当する外国籍の方は、技人国など別の在留資格に該当するケースがあります。
7.ペットトリマー・動物の世話をするスタッフ
トリミング、ペットホテルでの世話、犬の散歩、ペットショップでの販売などは、技人国や特定技能に該当しにくい仕事です。
8.専門性を必要としない一般事務・データ入力
データ入力、書類整理、コピー、電話の取次ぎなど、定型的な補助業務だけでは技人国の要件を満たさない可能性があります。
経理、貿易、人事、企画など、専門知識を使う業務であれば技人国に該当する場合があります。
9.ガソリンスタンド・レンタカー店舗スタッフ
給油、洗車、車両清掃、レンタカーの受付などを主な業務とする場合は、技人国・特定技能の対象になりにくいと考えられます。
自動車の点検や整備を主に行う場合は、特定技能「自動車整備」を検討できる可能性があります。
10.イベント・葬儀関連の設営・案内スタッフ
会場の設営・撤去、備品の運搬、来場者や参列者の一般的な案内を主な業務とする場合は、技人国や特定技能での採用が難しい可能性があります。
ただし、海外顧客対応、通訳、企画、マーケティングなどを主な業務とする場合は、技人国に該当することがあります。
このほか、マンション管理員、駐車場・駐輪場スタッフ、クリーニング店の受付なども注意が必要です。
外国人材の在留資格は、実際に担当する仕事内容をもとに判断されます。
アルバイトなら働ける場合がある
留学生や家族滞在の外国籍の方は、資格外活動許可を取得することで、原則として週28時間以内のアルバイトが可能です。
長期休暇中は1日8時間まで働ける場合があります。
ただし、風俗営業関連の業務は禁止されています。
アルバイトできても、同じ仕事で正社員になれるとは限らない
アルバイトとして認められる仕事と、就労ビザで認められる仕事は異なります。
留学生時代にできていた仕事でも、卒業後に同じ内容で就労資格を取得できるとは限りません。
まとめ【外国籍の方が働ける仕事は幅広い】
外国籍の方が働ける仕事の範囲は、国籍ではなく、原則として本人が持つ在留資格によって決まります。
永住者、定住者、日本人の配偶者等、特別永住者など、就労制限のない在留資格を持つ方は、日本人と同様に幅広い仕事に就くことができます。
一方、技術・人文知識・国際業務や特定技能の場合は、それぞれの在留資格で認められた範囲内で働く必要があります。
技人国・特定技能では採用が難しい代表的な仕事
- 警備員・交通誘導員
- コンビニ、スーパー、アパレルなどの販売員
- 引越し作業員、配送助手、配達員
- 家事代行、個人宅のハウスキーピング
- 美容師、理容師、美容サービススタッフ
- 保育士、保育補助、学童スタッフ
- ペットトリマー、動物の世話をするスタッフ
- 専門性を必要としない一般事務、データ入力
- ガソリンスタンド・レンタカー店舗スタッフ
- イベント・葬儀関連スタッフ
ただし、これらの仕事であっても、身分系の在留資格、特定活動、資格外活動許可などにより働ける場合があります。
また、特定技能の対象分野は拡大しており、外国人材を採用できる仕事は以前より大きく増えています。
外国人材の採用で大切なのは、「外国籍だから採用できない」と判断することではありません。
まずは任せたい仕事内容を整理し、その仕事に合った在留資格を確認することが重要です。
外国人材の採用はKAKKIにご相談ください
KAKKIでは、技術・人文知識・国際業務や特定技能を中心に、外国人材の採用を支援しています。
- 「自社の仕事で外国人材を採用できるのか分からない」
- 「どの在留資格が適しているのか知りたい」
- 「外国人材を採用したいが、何から始めればよいか分からない」
このようなお悩みをお持ちの企業様は、お気軽にKAKKIまでご相談ください。
企業様の業務内容や採用ニーズを確認し、適切な在留資格や採用方法を一緒に検討いたします。